組織のワークライフバランスを安定させるポイント

近年、働き方改革が叫ばれる中で、企業や組織においてもワークライフバランスが重要視されるようになってきました。しかし、組織のワークライフバランスを安定させるためには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。本記事では、組織のワークライフバランスを安定させるためのポイントをいくつか紹介します。

フレックスタイム制度の導入

従業員が自分のライフスタイルに合わせて働く時間を選べるフレックスタイム制度は、ワークライフバランスを向上させる効果があります。特に、子育てや介護などの家庭の事情がある従業員にとっては、柔軟性のある働き方ができることで、ストレスを軽減し、仕事とプライベートの両立がしやすくなります。また、フレックスタイム制度を導入することで、従業員同士のコミュニケーションも活発になり、組織全体の生産性向上にもつながります。

すべての企業や組織で実施可能ではないかもしれませんが、対人業務であってもフレックスタイム制度を利用することにより、サービスタイムを延ばすことが可能となります。そういう意味では、ワークライフバランスだけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。

テレワークの推進

テレワークは、従業員が自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で働くことができる制度です。通勤時間の削減や、自分の働きやすい環境で仕事ができることで、ワークライフバランスが向上します。また、テレワークを導入することで、従業員の満足度や生産性も向上することが報告されています。ただし、テレワークを推進する際には、適切なコミュニケーションツールの導入や、オンラインでの情報共有がスムーズに行える環境整備が重要です。また、従業員同士のコミュニケーションが途切れないように、定期的なオンラインミーティングやオフィスでの顔合わせの機会を設けることも大切です。

私もコロナショック以来、テレワークを利用して在宅勤務を続けています。テレワークを実践していて最も感じているのは、時間の有効活用です。少なくとも、通勤時間がなくなるので、その時間を家族とのコミュニケーションに利用することができます。それは、仕事では得ることができないとても大切な時間となっています。

有給休暇の取得推進

有給休暇の取得率が低い企業や組織では、従業員のストレスが溜まりやすく、ワークライフバランスが崩れることがあります。有給休暇を積極的に取得することで、従業員はリフレッシュでき、仕事に対するモチベーションも向上します。組織としては、有給休暇取得の推奨や、取得しやすい環境づくりを行うことが重要です。例えば、有給休暇取得の計画を立てる支援や、代替要員の確保、業務の引き継ぎ体制の整備などを行うことで、従業員が安心して休暇を取得できるようになります。

日本では法律により、企業は社員に対して有給休暇を最低5日分取得することが義務付けられています。それだけ日本はワークライフバランスが仕事に偏っていると言えます。あまりにも仕事に偏っているため、休暇を取得しても何をすればよいのか分からない人が出てきてしまう始末です。企業や組織として有給休暇を取得するための体制を整備するのはもちろんですが、個人として趣味を持つことも重要なのかもしれません。

労働時間の適切な管理

長時間労働が続くと、従業員のストレスや疲労が蓄積し、ワークライフバランスが崩れることがあります。組織としては、労働時間の適切な管理を行い、働きすぎを防ぐことが大切です。具体的には、残業時間の上限設定や、休憩時間の確保、労働時間の可視化などが挙げられます。また、労働時間の短縮を目指す取り組みとして、業務の効率化や無駄の削減にも取り組むことが重要です。

若いころに、残業240時間/月をしたことがありました。無制限に残業代が支払われる組織であったため、その月の給与はボーナスの額を超えていました。しかし、それによって健康や家族の信頼など、お金では解決できないたくさんのものを失いました。このような犠牲者を今後増やさないためにも、労働時間の適切な管理は確実に推進する必要があります。

 社内制度の充実

従業員が働きやすい環境を整えるためには、社内制度の充実が欠かせません。例えば、育児休業や介護休業などの制度を整備し、従業員が家庭と仕事を両立しやすい状況を作ることが大切です。また、メンタルヘルス対策として、ストレスチェックやカウンセリングの提供、社内外のセミナーや研修の開催なども効果的です。

働き方の選択肢を増やすことは、ワークライフバランスだけでなくエンゲージメントにも大きな影響を与えます。また、望まない寿退社ややむを得ない介護退社などの社員の流出を防ぐことにもつながります。安定した企業や組織の運営の観点からも、社内制度の拡充は必要となります。

社内コミュニケーションの活性化

組織内でのコミュニケーションが活発であれば、従業員同士の連携がスムーズになり、業務効率が向上します。また、相談しやすい雰囲気があれば、従業員が悩みやストレスを抱え込まずに済み、メンタルヘルスの維持にもつながります。社内コミュニケーションを活性化させるためには、オープンな社風の醸成や、チームビルディングの機会を設けることが効果的です。

よく勘違いされることが多いのですが、ビジネス会話といわゆるコミュニケーションは別々に考える必要があります。ビジネス会話が円滑にできていても、それはメンタルヘルスの維持にはつながりません。ここで言うコミュニケーションは、何気ない会話や互いの人柄がわかるような会話のことを指しています。互いの人柄がわかると信頼関係が構築され、メンタルヘルスの維持につながります。

組織風土の改善

ワークライフバランスを安定させるためには、組織風土の改善が不可欠です。経営陣や上層部がワークライフバランスを重視し、その考え方を組織全体に浸透させることが大切です。具体的には、経営陣自身がモデルとなって働き方を見直すことや、従業員の意見や提案を積極的に取り入れることが効果的です。また、組織内での評価基準を見直し、働き方改革に取り組む従業員を評価する仕組みを整えることも重要です

まとめ

組織のワークライフバランスを安定させるためには、フレックスタイム制度の導入やテレワークの推進、有給休暇の取得推進、労働時間の適切な管理、社内制度の充実、社内コミュニケーションの活性化、組織風土の改善など、様々なポイントに注意が必要です。組織全体で取り組むことで、従業員の働きやすさが向上し、組織の生産性や競争力も高まるでしょう。

また、定期的なモニタリングや評価が欠かせません。従業員の意見やフィードバックを収集し、改善点や課題を見つけ出すことが大切です。そのためにも、アンケートや面談などの方法を活用し、従業員の声を聞くことが重要です。

組織のワークライフバランスを安定させる取り組みは、一度行ったら終わりではありません。継続的に取り組み、時代や状況に応じて柔軟に対応することが求められます。組織として、従業員の働きやすさを常に意識し、ワークライフバランスを向上させる取り組みを進めていくことが大切です。

今後も、働き方改革やワークライフバランスに関する情報や取り組みが進化し続けることが予想されます。組織としては、最新の情報やトレンドをキャッチし、自社に適した取り組みを見極め、実践していくことが大切です。

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