社員の働きがいを向上させるために

働きがいのある職場は、社員が自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じることができる場所です。そのような職場環境を整えることで、社員のモチベーションが向上し、企業全体の生産性や業績も向上することが期待できます。では、どのような取り組みが働きがいの向上につながるのでしょうか。本記事では、そのポイントをいくつか紹介します。

コミュニケーションの活性化

まずは、社員同士のコミュニケーションを活性化させることが重要です。オープンな意見交換ができる環境を整えることで、社員が自分の意見やアイデアを発信しやすくなります。また、異なる部署や役職の人とも交流が増えることで、新たな視点や知識を得ることができ、自身の成長につながります。コミュニケーションを活性化させるためには、定期的な社内イベントやランチョン・ミーティングの開催、オフィスのレイアウト変更などが効果的です。

繰り返しになりますが、大切なことなので再度お伝えします。よく勘違いされがちですが、ビジネス会話といわゆるコミュニケーションは別々に考える必要があります。ビジネス会話が円滑にできていても、それだけではコミュニケーションが活性化しているとは言えません。ここで言うコミュニケーションは、何気ない会話や互いの人柄がわかるような会話のことを指しています。互いの人柄がわかると信頼関係が構築され、組織の風通しが良くなり、社員が自分の意見やアイデアを発信しやすくなります。

育成・教育の充実

社員が自分のスキルや知識を向上させることができる環境を整えることも、働きがいの向上につながります。研修やセミナーを積極的に開催し、社員が自分のキャリアを築くためのサポートを行いましょう。また、社内でのメンター制度や先輩社員からのアドバイスなど、社員同士で学び合える仕組みも効果的です。さらに、外部の専門家を招いて講演会を開催したり、社員が自主的に勉強会を開く機会を提供することも、知識やスキルの向上に役立ちます。

研修を選定する場合、個人のパーパスに基づいた選定が重要です。会社や組織の方針に従った研修を社員に受けさせることは、習得すべき内容を十分に身につけられないだけでなく、モチベーションの低下を招くことがあるためです。また、個人のパーパスは多岐にわたるため、それを充足できるだけの選択肢を準備する必要があります。会社の方針に従った研修が多くなるのは仕方ありませんが、それだけでなく、会社の方針に合わない研修も選択肢に含めることで、パーパスを尊重し、イノベーションの可能性も広げることができます。

労働環境の改善

働きがいを感じるためには、快適な労働環境が欠かせません。オフィスの照明や温度、騒音などの環境面を整えることはもちろん、休憩スペースやリフレッシュルームの設置も効果的です。また、柔軟な働き方を導入することで、社員が自分に合った働き方を選択できるようにしましょう。例えば、テレワークやフレックスタイム制度、時短勤務などが挙げられます。

労働環境という単語を使用していますが、「会社が社員に対し多くの選択肢を提供する」と考えるとわかりやすいです。仕事の息抜きは人によって様々な方法があります。すべては提供できないですが、窓際でコーヒーを飲む以外の選択肢も準備すべきです。前述の通り、働き方についてもコロナ禍を乗り越えた今、様々な選択肢が提供されるようになりました。継続して利用できる環境を提供すべきです。

もう一つ大切なことは、誰でもどの選択肢を自由に選択できるようにすることです。制度的なことだけではありません。職場の雰囲気を含めて、自由に選択できるようにする必要があります。選択に対して、会社はメリット・デメリットを説明する義務を負いますが、選択に対して会社は意見してはいけません。これは、選択した責任を選択した本人に持たせるためです。責任を本人に持たせることは、自律を促すだけでなく、エンゲージメント向上にも良い影響を与えます。

評価・報酬の適正化

社員が自分の働きに対して適切な評価や報酬を受けることができる環境を整えることも、働きがいの向上につながります。目標設定や評価基準を明確にし、公平な評価が行われるようにしましょう。また、成果に応じたインセンティブ制度や昇給・昇格制度を設けることで、社員のモチベーションを高めることができます。

報酬の1つである褒賞(いわゆる賞金)には注意する必要があります。褒賞は働きがいを向上させる簡単な方法ですが、大きな副作用を伴います(詳しく知りたい人は「アンダーマイニング効果」を調べてください)。簡単に副作用を説明すると、褒賞は褒賞を良くし続けないと、働きがいを向上することができなくなります。褒賞が大きくなりすぎ、褒賞を減らしたり褒賞を無くすと、急激に働きがいが低下します。そして、元々褒賞制度を導入しなかった場合と比べて、より働きがいを低下させてしまいます。そのため、褒賞制度を導入する際は、適切なバランスと持続可能性を考慮することが重要です。

社員の意見・要望の尊重

社員が自分の意見や要望を会社に伝えやすい環境を作ることも重要です。社員の声を聞くための意見箱や社内SNS、定期的な面談などを通じて、社員の意見を収集しましょう。そして、それらの意見を柔軟に取り入れることで、社員が自分の意見が尊重されていると感じることができます。また、社員からの提案が実現した際には、その成果を社内で共有し、社員のやりがいを高めることができます。

しかし、何でも意見・要望を聞いてしまうと、すべて会社に言えば解決してくれると勘違いしてしまうことがあります。社員たちで考えて改善すべき内容の場合は、社内でワークグループを立ち上げて検討してもらう必要があります。会社でないと解決できない内容は会社で引き取り、会社として解決すべきです。社員でも会社でも解決できない内容の場合は、意見をあげてくれた社員に丁寧に説明し納得してもらいます。このように、適切な対応を行うことで、社員が意見を伝えやすい環境を維持しつつ、効果的な改善策を実施できます。

企業文化の醸成

働きがいを感じる職場には、独自の企業文化が存在します。企業理念やビジョンを明確にし、それに基づいた行動指針を設定することで、社員が一体感を持って働くことができます。また、社員が自分の仕事に誇りを持ち、企業の成長に貢献できるような文化を築くことが重要です。

多くの独自の企業文化に共通していることは、自由と責任のバランスが良くとれていることにあります。自由は制限の中に存在しています。この場合の制限は経営理念やビジョンに従って行動することです。それ以外は、社則はあっても主に社員の意見が尊重される文化となっています。社員の意見で行動しているので主な責任は社員にあるのですが、その社員の教育の責任は上司が背負っています。これら、自由と責任のバランスにより、働きがいを感じられる職場が出来上がっています。このような職場環境を整えることで、社員の満足度や生産性が向上し、企業全体の成長にも寄与します。

ワークライフバランスの推進

社員が仕事とプライベートの両立ができる環境を整えることも、働きがいの向上につながります。長時間労働の是正や有給休暇の取得推進、育児・介護休業制度の充実など、ワークライフバランスをサポートする取り組みを行いましょう。また、社員同士で助け合いの精神を育むことで、互いに支え合いながら働ける職場環境を作ることができます。

ワークライフバランスを取るときに注意すべき点は、「働いている時間が短い人がバランスが取れている」という先入観にとらわれないようにすることです。人によってバランスが取れた働き方は異なります。働いている時間が長い人・短い人の双方にバランスが取れているか確認し、適切なサポートをする必要があります。このような柔軟な対応が、社員一人ひとりの働きがいや生産性の向上に繋がり、結果として企業全体の成長にも寄与します。

まとめ

社員の働きがいを向上させるためには、コミュニケーションの活性化、育成・教育の充実、労働環境の改善、評価・報酬の適正化、社員の意見・要望の尊重、企業文化の醸成、ワークライフバランスの推進など、様々な取り組みが必要です。これらの取り組みを継続的に行うことで、社員が自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じる職場環境を作ることができます。その結果、社員のモチベーションが向上し、企業全体の生産性や業績も向上することが期待できます。

企業にとって、社員の働きがいを向上させる取り組みは、単なる福利厚生ではなく、経営戦略の一部として捉えるべきです。社員が働きがいを感じることで、企業の競争力が高まり、持続的な成長が可能となります。今後も、働きがいの向上に向けた取り組みを進めていくことが、企業にとって重要な課題となるでしょう。

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