ビジネスの現場では、社員同士のコミュニケーションが非常に重要です。特に、上司から部下へのフィードバックは、社員の成長やチームの向上に大きく寄与します。しかし、適切なフィードバックの方法がわからないと、逆に社員のモチベーションを下げてしまうこともあります。そこで今回は、社員へ適切にフィードバックするコツについて解説します。
1. フィードバックの目的を明確にする
まずはじめに、フィードバックの目的を明確にしましょう。目的が曖昧だと、受け取る側も何を改善すべきかわからず、効果的なフィードバックになりません。フィードバックの目的は、社員の成長や業務の改善、チームの向上など、具体的に明示することが重要です。また、目的を共有することで、受け取る側もフィードバックをポジティブに捉えやすくなります。
フィードバックが目的にならないように注意しましょう。定期的にフィードバックの時間を設けると、知らず知らずのうちにフィードバックが目的になってしまうことがあります。次の項目にある通り、フィードバックは必ずしも定期的に行う必要はなく、適切なタイミングを見てフィードバックすることが望ましいです。
2. タイミングを考慮する
フィードバックはタイミングが重要です。できるだけ早い段階で行うことで、問題が大きくなる前に改善ができるため、効果的なフィードバックにつながります。また、フィードバックを行う際は、相手がリラックスしている状態や、他の仕事に集中していないタイミングを選ぶことが望ましいです。
前項でも述べましたが、定期的にフィードバックの場を設ける必要はありません。むしろ、適切なタイミングを見てフィードバックすることで、効果的になります。問題が大きくなる前に改善ができるだけでなく、本人が忘れないうちにフィードバックすることが望ましいです。
3. 具体的な事例を挙げる
フィードバックを行う際には、具体的な事例を挙げることが重要です。抽象的な指摘では、受け取る側がどのよう改善すべきか理解しにくく、効果的なフィードバックになりません。具体的な事例を挙げることで、相手が自分の行動や業務においてどの部分が問題だったのかを明確に理解できるため、改善がスムーズに進みます。
しかし、抽象的な指摘が不要だと言うわけではありません。具体的な事例だけでは、その問題だけの改善に終わってしまいます。具体的な事例に加えて抽象的な指摘も行うことで、1つの指摘の汎用性が高まり、複数の改善につなげることができます。
4. 聞く姿勢を大切にする
フィードバックは一方通行のコミュニケーションではなく、双方向のコミュニケーションが大切です。相手の意見や考えを聞くことで、その背景や理由を理解し、より適切なアドバイスができるようになります。また、相手の意見を尊重することで、フィードバックを受け入れやすくなります。
まずは相手の意見を聞くようにしましょう。もしかすると、納得できる背景や理由があるかもしれません。その場合は、相手が正しい行動をしたということと、フィードバックしようとしたことの両方を伝えましょう。もし想像通りであったら、適切にフィードバックを行いましょう。
5. ポジティブな言葉を使う
フィードバックを行う際には、ポジティブな言葉を使うことが重要です。否定的な言葉や厳しい言い方では、相手が落ち込んでしまい、改善意欲が湧かなくなってしまうことがあります。ポジティブな言葉を使って、相手の良い点や努力を評価し、その上で改善点を伝えることで、受け取る側も前向きに取り組む気持ちになります。
改善点を伝える際には、「～はダメ」「～は良くない」と言わず、「～した方が良かった」と伝えることが大切です。また、別の方法として「どうした方が良かったのか？」と相手に質問する方法もあります。相手に質問する方法は、否定することはありませんが、相手が責められていると感じることがあるため、慎重に使用する必要があります。
6. 目標設定を明確にする
フィードバックを行った後は、具体的な目標設定を行いましょう。目標が明確でないと、改善のための行動が曖昧になってしまい、効果的な改善ができません。目標設定を行うことで、受け取る側も具体的な行動を起こしやすくなり、改善がスムーズに進みます。
目標を設定する際には、自己効力感を感じられる目標にする必要があります。自己効力感が感じられないほど高い目標を設定すると、目標を目指す前にあきらめてしまい、達成意欲が湧かなくなってしまいます。低い目標を設定すると、目標を馬鹿にしてしまい、達成意欲が湧かなくなってしまいます。目標はフィードバックする側とされる側が、しっかりと話し合い、納得できる高さに設定する必要があります。
7. フォローアップを行う
最後に、フィードバック後のフォローアップも重要です。一度フィードバックを行っただけでは、改善が継続的に行われるとは限りません。定期的にフォローアップを行い、改善状況を確認し、必要に応じてアドバイスを続けることで、継続的な成長が期待できます。
フォローアップは過度に行わないことが重要です。相手が気づくまで少し待つことも大切です。人に言われたことと、自分で気づいたことを比べると、自分で気づいたことの方が改善として定着しやすいことが知られています。相手が気づくまで少し観察し、改善できていないと確信を持った時にアドバイスをするようにしましょう。
まとめ
社員へ適切にフィードバックするコツは、以下の7つです。
１． フィードバックの目的を明確にする
２． タイミングを考慮する
３． 具体的な事例を挙げる
４． 聞く姿勢を大切にする
５． ポジティブな言葉を使う
６． 目標設定を明確にする
７． フォローアップを行う
これらのポイントを意識して、社員へのフィードバックを行うことで、効果的なコミュニケーションができるようになります。適切なフィードバックは、社員の成長やチームの向上に大きく寄与するため、ぜひ実践してみてください。また、フィードバックを行う際には、相手の立場や感情を考慮し、適切な言葉遣いや態度で接することも大切です。
フィードバックは、上司から部下へだけでなく、部下から上司へ、また同僚同士でも行われるべきです。お互いにフィードバックを行い合うことで、チーム全体の成長や業務の改善が期待できます。適切なフィードバックを習慣化し、より良い職場環境を作り上げましょう。
